- 原子力発電所の停止と電力供給
資源エネルギー庁作成の「東京電力の設備出力の復旧動向一覧表」に7月末の東京電力の供給能力が「4650万kW」とあったが、これには東電管内全体で1050万キロワットの発電力を持つ揚水発電(夜間に水力発電所の上下貯水池へ水をくみ上げ、昼間に水を流下させて発電する仕組み)が全く含まれず、現在停止中の火力発電所の分も含まれていない。東電と他社が共同出資・運営している鹿島や常磐の共同火力発電所の再稼動だけでも110万キロワットの電力が供給出来る。
いわば日本国憲法下のわが国「お約束」とも言える米国からもたらされた日本の原子力発電行政は、計画停電(輪番停電)や夏期の電力不足を煽ってでも守らなければならなかった利権政治そのものです。
日米同盟という幻(単なる対日進駐軍基地提供協約)を信じる親米保守の右派・保守派は、この期に及んでなお原発推進をうたい、護憲・天皇制破壊という親米革新の左派・革新派は、福島第1原発事故を「天の恵み」のように捉え、従来からの原発反対運動を大手を振って展開しています。
後者の被災者心情を無視した不見識な莫迦騒ぎに腹を立てるも、だからといって原発行政の現状維持に私は異論を唱えてきました。ふたを開けてみれば自立した危機対応もかなわぬものをわが国に置いておくことは、国家を滅ぼしかねない、まさに國體(国家の本能)に反するからです。
福島第1原発を失った東京電力は、管内の電力消費を、現在休眠している火力発電所の再稼動でまかなえるのなら、事故発生直後から私が指摘してきたように、一刻も早く再稼動させねばなりません。
いえ、わが国が現行軽水炉型原発をやめるという選択すら、いかに従米右派のお歴々が反対しようとも、議論しなければならないはずなのです。その可能性を頭ごなしに否定することは、核の議論をさせないようにしてきた左派の思考停止と同じではありませんか。
今、多くの人々が原発行政に対する不信を抱き、それに相当する政府(歴代政権と経済産業省)と東電一体の無責任ぶりが露呈しました。この多くの人々は、一体どこへ行くのでしょうか。極端な運動に自らが参加しようとまでは思わないまでも、彼らは気がつけば、国家観や歴史認識などに次いでまたも左派の主張に流されてしまうに違いありません。
私が皆様と共に考え、各分野の識者のお知恵を拝借しながら訴えてきたことは、自立した資源の確保であり、これが出来ない限り内需(景気)を回復させることも出来ませんが、現行原発をやめることはその一助となるかもしれないのです。
火力発電所は石油や石炭、液化天然ガスを燃料にしますが、第二次石油危機以降、わが国の省資源技術のたゆまない向上により、国際宣言の採択もあって、石油火力発電所の新設はしてきませんでした。よって燃料混合型の発電所を新設してきたのです。
資源がないと思い込まされてきたわが国には、周辺海域に東部南海トラフだけでメタンハイドレートが約40兆立方フィートも埋蔵していると言われています。沖縄県近海の東支那海ガス田を何としても中共に不法採掘されていてはならないと訴えてきたことは、奇しくもこれが軽水炉型原発をやめるわが国民の生活を守ることになるのです。
原発反対派運動と申しますか、左派・革新派運動のいつもながらの無責任は、原発や軍隊をなくしてどうするのかという具体的且つ有効な手段を示さないことであり、私たちの暮らしを守れない不安定な発電技術を提示しても何の役にも立ちません。一方、右派・保守派運動も現状維持を述べるだけで、その現状にうんざりしている多くの人々の受け皿とは決してなりえないことを自覚すべきです。
わが国が、我欲にまみれた中共を叱りつけてでも沖縄県石垣市尖閣諸島を守り抜かなければならないのは、自立した安全なわが国を守るためだと知って下さい。義援金拠出のために活動資金を失った私は、体制を立直し次第これを訴えてまわります。
平成23年4月26日
真正保守政策研究所代表 遠藤健太郎
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【政策メモ】わが国の電力行政について 今後の展望案
・燃料混合型火力発電所に必要な資源の調達。重要課題は東支那海ガス田、特に沖縄県石垣市尖閣諸島近海の海底資源の採掘調査と、採掘基地の設置。南海トラフに埋蔵するメタンハイドレートの採掘技術の開発と、採掘基地の設置。
・「日本は資源のない国」という嘘から、全て国民を開放する。資源も電力も輸入するものではない。その輸出すら目標に掲げてよい。
・もはやダム建設を必要としない水力発電、水路発電、または海流発電、潮流発電の本格的技術導入。実は本分野でわが国は最先端の技術開発を済ませている。低周波振動で周辺に人が住めない風力発電や、設置面積の問題と費用対効果が決して高くない問題を抱える太陽光発電(各世帯の補助電力供給源としては有用)よりも永続的且つ安定的な自然資源利用である。
・わが国を東と西に分断している交流電源の周波数を統一。または交流による送電をやめる(後述)。
・電力供給会社と送電会社を分離。電力会社が地域ごとにある現状は、わが国土の面積と送電効率から考えて無駄でしかない。送電会社は一つでよい。なお、世界規模での効率化という視点から、現状の交流ではなく安全性を高めた上での直流、或いは直流の技術的危険性を除外出来なければ、わが国でも独自に技術開発がなされてきた新電力網(スマートグリッド)を構築。→東京工業大学を中心とした産学共同実験は、昨年から既に始まっている。現状で経済産業省が極めて消極的なだけ。
・現行軽水炉型原発が安定的且つ低費用の発電技術では決してない(設置自治体に対する分など原発関連予算が多額である点、原発の炉心寿命は原則40年であり、廃炉に係る予算が運営費用に含まれていない点)と知ること。原発が止まって困ると思うなら、わが国独自の原子炉開発を進めるのと共に、自前で資源を調達しようとたちあがるべき。
・二酸化炭素排出削減に関する鳩山由紀夫前首相宣言について、政府は無責任なものであったことを認めて撤回すべし。地球温暖化といわれる現象の事実精査と、二酸化炭素排出との因果関係調査を改めて行なうこと。欧米主導の排出権買取が投機的(賭博的)ではないか、という疑問を持つ必要が私たちにはある。
・これら実現の大前提は、言うまでもなく日本国憲法の無効確認、すなわち自前の憲法(大日本帝國憲法)の復原決議と、外国による、或いは外国に対する諜報・工作活動を禁止する法律(俗に言う「スパイ防止法」)の制定。
平成23年5月14日
真正保守政策研究所代表 遠藤健太郎
【補足】
・オーランチオキトリウムによる石油の精製技術の確立と、生産体制(有機物の確保も含む)の実施。
遠藤健太郎オフィシャルブログ 平成22年12月17日記事より
・コンバインドサイクル発電のガス化複合発電。技術は既に確立されている。低質な石炭や重質油、廃棄物でも、有害な不純物を取り除いてガス化することで、それを燃料に利用する低環境負担の発電方法。